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牛首紬の染め
牛首紬の染め形には大きく分けて、先染めと後染めの2種類があります。
先染めとは、糸の段階で染色を行い、その後織り上げるものをいいます。また、後染めとは白生地として織り上げたものに染色を施すものをいいます。
大島紬、結城紬をはじめとする各地の紬のほとんどは先染です。加賀や京都などの染めを施した後染めの着物があることも牛首紬の大きな特徴のひとつです。
牛首紬の先染め
牛首の先染染色の歴史は、古老の伝承によれば、植物による染色は古くは一般の家庭でも行い、決して難しい技法ではなかったといわれています。
弊社でも元々は植物染料による草木染めを中心に染色されてきましたが、堅牢度の悪さが常に問題となり、近年では「藍染」「くろゆり染め」などのごく一部の特殊な染めを除き、退色を防ぐために化学染料も使用しています。
ただ、現在も元々行っていた草木染めの色合いを基調として色出しをしています。牛首紬の色合いに優しい中間色が多いのはこのためです。
牛首村伝統の染色法
藍染め
牛首村に伝わった藍染めは、奈良平安時代の古代染色法である「正藍冷染」と酷似しているといわれています。かつては藍瓶の加減を舌で味わって確かめたということから、経験が重んじられる伝承技術です。
牛首紬の代表的な伝統柄「カツオ縞」など、様々な縞模様に織り上げられます。
くろゆり染め
「一つの草からいろいろな色が染められる。」と言う夢のような伝説が村に伝わっていました。この幻の染めを追い求めて、辿りついたのがこの「くろゆり染め」です。
この染色は海抜800メートルの土地で栽培したくろゆりの花びら9000枚から色素を抽出し、各種の媒染剤にてピンク、紫、黄、緑、グレー等を発色させるものです。
特に、一つの植物から鮮やかな緑色を染めだす技法は過去に残されたものは無く、現在も植物染色に於いてはグリーン系に染める時は、青系と黄系の染料を掛け合わせています。この事からも、この「くろゆり染め」は、日本の植物染色関係者に大変貴重な染料と認められたものです。
後染め
白生地として織り上げた生地に染色を施したものを総称して「後染め」と呼びます。
訪問着、小紋や袋帯など幅広い柄行きに染められます。同じ地元、石川県の代表的な伝統産業「加賀友禅」も後染めの技法のひとつとなります。
大島紬、結城紬をはじめとする各地の紬のほとんどは先染です。加賀や京都などの染めを施した後染めの着物があることも牛首紬の大きな特徴のひとつです。